シリーズ「データで読み解くエスパルスの攻撃の現自在位置②
エスパルスの攻撃をデータで読み解き、現在地を確認するシリーズ記事の第2回です。
第1回では「ゴール期待値」を取り上げ、攻撃の質と量という観点からチームの現状を整理しました。
今回はそこから「パス交換」のデータに着目していきます。
エスパルスの攻撃の基本形とは?
エスパルスの攻撃の基本形は、相手の守備陣形が整わないうちにトップのセフン選手へボールを当て、インサイドハーフの選手が衛星のようポジションを取り、に裏へ抜け出すか、落としたボールを回収して高い位置で前向きのプレーを引き出すというものです。
そこから右サイドのスペースを活用してクロスを供給し、左のインサイドハーフや大外の左ウイングの選手がフィニッシュに絡むというのが、現時点での攻撃の基本的なカタチと言えます。
このカタチが最も鮮明に表れたのがG大阪戦の2ゴールです。
1点目はエリア中央でインサイドハーフ選手がつぶれ役となり、こぼれ球を大外からシュート性のクロスで仕留めるもの。
2点目もインサイドハーフ選手が右サイドへ飛び出し、クロスに左ウイングの選手が合わせるというカタチでした。
この攻撃パターンをいかに多く高い精度で再現できるかが、エスパルスの攻撃力を左右するポイントになります。
パスデータが示すボールの流れ
攻撃の意図が実際のプレーにどれだけ反映されているかを確認するうえで、パス交換のデータは有効な指標となります。
セフン選手とインサイドハーフ選手のコンビネーション、右サイドでの崩しのパス交換
この2点が頻繁に見られれば、意図した攻撃が機能していると判断できるからです。
では実際のデータを見てみましょう。
| 順位 | 出し手 | 受け手 | 本数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 吉田 豊 | マテウス ブエノ | 39 |
| 2 | 本多 勇喜 | マテウス ブエノ | 34 |
| 2 | マテウス ブエノ | 小塚 和季 | 34 |
| 4 | 吉田 豊 | カピシャーバ | 28 |
| 4 | マテウス ブエノ | 吉田 豊 | 28 |
| 6 | カピシャーバ | 吉田 豊 | 24 |
| 6 | マテウス ブエノ | カピシャーバ | 24 |
| 8 | 本多 勇喜 | 吉田 豊 | 20 |
| 9 | マテウス ブエノ | 本多 勇喜 | 19 |
| 9 | マテウス ブエノ | 住吉 ジェラニレショーン | 19 |
データから読み取れること
まず目を引くのは、アンカーのマテウス ブエノ選手の存在感です。
出し手としてランキングに複数回登場するだけでなく、受け手のランキングでも1位・2位を占めており、プレーの中心に位置していることがデータから明確に読み取れます。
もう一つの特徴は、吉田選手の名前がランキングに多く登場していることです。
左サイドから右サイドの深いエリアへ送り込む大きなフィードは、試合を見ていても印象的なシーンです。
吉田選手へのボール集約にはそうした展開を意図した設計が見え、データにもその傾向が現れています。
右サイドの崩しとインサイドハーフの関与が課題
一方で懸念点もあります。
吉田選手が多くのパスを受けているとはいえ、その多くは同サイドのカピシャーバ選手とのショートパスにとどまっています。大きなサイドチェンジが毎回ランキングに入るほど頻繁に起きるものではないとしても、意図した選択肢を取れずに近くの選手へ逃げるパスが増えているという側面も否定できません。
また、インサイドハーフ選手のデータへの関与が少ない点も気になります。
前節ではブエノ選手と小塚 和季選手のパス交換が多く見られましたが、その多くがポジションを維持するためのキープ目的にとどまり、崩しに直結するパスには発展しませんでした。
ラストパスのデータが示す現在地
北川選手のラストパス数はチームトップの9本で、右サイドからチャンスを作り出している傾向はデータにも表れています。
ただ、他クラブでは複数選手が10本以上のラストパスを記録しているケースも多く、チーム全体の絶対数としてはまだ物足りない水準です。
攻撃の狙いは明確になってきている。しかし、それが実際のプレーに落とし込まれるまでにはまだギャップがある。今回のパスデータはそのことを端的に示していると言えるでしょう。
裏を返せば、改善の余地は十分にあります。現状の序列に入り込めていない選手にとっても、ポジションを奪うチャンスは十分に残されています。
今週末から3連戦を迎えます。パスの出し手・受け手・その方向性に注目しながら観戦すると、また違った景色が見えてくるはずです。


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