スプリント数175%が示す前進、清水エスパルスvs京都戦トラッキングデータ戦術分析

分析

2試合を終えて得点はオウンゴールの1点のみ。

数字だけを見れば、決定力不足は明確です。

エリア内で仕留め切れない現実は、個のクオリティの問題として避けては通れません。

しかし、内容面に目を向けると、開幕戦とは異なる質の変化が確実に存在しました。

その変化を最も端的に示しているのが、トラッキングデータにおけるスプリント数の増加です。


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スプリント数「89 → 156」──175%という変化の意味

  • 第1節 名古屋戦:スプリント数 89回

  • 第2節 京都戦:スプリント数 156回

  • 前節比:175%

この数値は単なる運動量の増加ではありません。
戦術的に言えば、「プレー原理の転換」が起きたことを示しています。

スプリントは、意図の伴わない場面では発生しません。
裏への抜け出し、前への守備、攻撃への関与、ネガティブトランジション時の即時回収。

すべてはチームのプレーモデルと連動しています。

つまり、京都戦では「考えてから動く」状態から「動きながら判断する」状態へとフェーズが一段上がったのではないかと解釈できます。


中盤の活性化──ブエノとインサイドハーフの変化

象徴的なのはアンカーのブエノ選手。
スプリント数は1回 → 14回へ。

これは単に走ったという話ではなく、

  • 前方へのサポート

  • セカンドボール回収への加速

  • 守備へのアプローチ

といった、攻守両局面での関与度が上がったことを意味します。

さらにインサイドハーフは合計で16回 → 34回
中盤の選手がボールを受けるだけでなく、「関与するために動く」姿へ変化しています。

名古屋戦では中盤が停滞し、前線への単発的な供給に終始しました。
京都戦では中盤が“現象を起こす側”に回り始めていたのではないでしょうか?


サイドバックの加速──幅と深さの同時確保

サイドバックのスプリント数も21回 → 34回へ増加。

これは単なるオーバーラップの増加ではありません。

  • 高い位置取りによる幅の固定

  • 最終ラインの押し下げ

  • 2次局面での再加速

攻撃の厚みは、サイドバックの“2回目の動き”が大きな意味を持つこととなります。
京都戦では、その再加速の回数が明確に増えました。

結果として決定機は名古屋戦より大幅に増加。
フィニッシュ精度は伴わなかったものの、構造的な前進は確認できたといえます。


京都より少ない?それでも意味がある理由

総スプリント数では京都の方が上回っています。
しかし、プレースタイルが異なるチーム間で単純比較することに意味はありません。

重要なのは「前節比」
チームが自らの基準値を更新したかどうかです。

89回から156回へ。
この増加は偶然では説明できません。

トレーニング強度、戦術理解、心理的解放。複合的な要因が重なった結果です。


“まず動ける”状態へ

開幕戦は、まだ思考優位のチームでした。
ポジションの確認、距離感の調整、判断の遅れ。

京都戦では、身体が先に反応する場面が明確に増えています。
これはチームの内部同期が進んでいる証拠です。

スプリント数は、単なる走行データではありません。
「主体性の回数」とも言い換えられます。


次節・神戸戦への示唆

次節はホームで神戸戦。
スタッフ陣にとっては古巣との対戦です。相手の特性は熟知しているはず。

重要なのは、京都戦の156回が一過性ではなく、基準値として定着すること。

  • 前進守備の初速

  • 攻撃時の二列目の侵入

  • ネガティブトランジションの即時回収

これらが継続できれば、決定機の数も保たれ、機会を繰り返すことでシュート精度も改善していく可能性があります。

得点は偶然性を含みますが、スプリントは意図の集積です。
今回の数値は、確実に前進の兆候を示しています。

勝利はまだ遠い状態です。しかし、考えてく後家なかった開幕戦から、走れるようになった第2節へ。

この変化を、次節で“勝ち点”へ転換できるか。

さらにチームの現在地を測る90分になります。

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