トラッキングデータから見える“開幕戦の現在地”
エスパルスvs名古屋のトラッキングデータが公開されました。
試合を観た印象と、この数値データを重ね合わせていくと、開幕戦のエスパルスが「何をやろうとしていたのか」、そして「何がまだ足りないのか」が、かなり立体的に見えてきます。
では、項目ごとに整理して見ていきましょう。
走行距離
まずは走行距離です。
エスパルスの1試合を通じた総走行距離は 111.939km。
対する名古屋は 110.846km で、総走行距離ではエスパルスがわずかに上回る結果となりました。
「走り負けた試合ではない」ということは、まずこの時点で確認できます。
一方で、この111.939kmという数値は、昨シーズンの開幕戦と比較すると約3km少ない結果でもあります。
興味深いのは、特定のポジションだけが大きく距離を落としているわけではなく、全体的に走行距離が少なくなっている点です。
開幕戦という状況を考えれば、コンディション的に「動けなかった」という印象はありません。
となると、これはフィジカルではなく戦術的な要因と捉えるのが自然でしょう。
実際の試合を振り返っても、
・頻繁なポジションチェンジ
・大きなカットインや入れ替わり
といったプレーはほとんどありませんでした。
あらかじめ立ち位置を整理し、
無理に動き続けるよりも、配置と役割を崩さないことを優先した試合運びだった――
その意図が、この走行距離の数字に表れているように感じます。
スプリント数
続いてスプリント数です。
エスパルスのスプリント数は 89回。
名古屋と比較すると、約20本少ない数値となりました。
ここだけを見ると、やや物足りなさを感じるかもしれません。
ただし、昨シーズンの開幕戦が 80本 だったことを考えると、昨年比では増加しています。
つまり、
「昨年よりは前進しているが、名古屋ほど“加速勝負”には持ち込めなかった」
そんな位置づけが妥当でしょう。
特に注目したいのが、宇野選手とブエノ選手のスプリント数がそれぞれ“1”だった点です。
この2人はチームの中枢を担う選手です。
彼らが走らなかったのではなく、“走らせなかった設計”だったと見る方がしっくりきます。
中央で無理に前後動を繰り返すより、
・立ち位置でバランスを取る
・次の展開に備える
そんな役割が強く与えられていた可能性を、この数字は示唆しています。
最多スプリントはセフン
一方で、最もスプリント数が多かったのは セフン選手 でした。
前線で
・走って
・競って
・また走る
この繰り返しを90分間続けていたことが、データからもはっきりと読み取れます。
前線で体を張り、相手とぶつかり続ける役割を一身に引き受けていたことは、見ている以上に数値が雄弁に物語っています。
まとめ:このデータが示すこと
今回のトラッキングデータから見えてくるのは、
「とにかく走って頑張る」タイプのサッカーではない、ということです。
これは、戦術理解とポジショニングを優先するチーム作りの途中段階だと考えられます。
だからこそ今後の焦点は、「戦術理解をどこまで高められるか」ここに尽きるでしょう。
その上で、
・どこかで誰かが無理をする局面を作るのか
・スプリントを増やす“スイッチ”をチームとして持つのか
次の試合では、そうした変化が見えてくるかどうか。
名古屋戦のデータは、次戦をより楽しみにさせてくれる材料でもあります。


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