エスパルスのスプリントデータが映し出した神戸戦の実態
先日の神戸戦、エスパルスはほとんど攻撃のカタチをつくれずに完敗を喫しました。
メンバーが揃わない状況を戦術で埋めることが容易でないことを、改めて浮き彫りにした試合と言えます。
そのプレーの実態は、トラッキングデータにも如実に表れています。
特にスプリント数において、顕著な数値の差が確認できます。今回は、快勝を収めた広島戦との比較を通じて見ていきましょう。
広島戦と神戸戦のスプリント総数の比較
まずはチーム全体のスプリント総数です。
| 試合 | スプリント総数 |
|---|---|
| 広島戦 | 121回 |
| 神戸戦 | 108回 |
広島戦と比べて13回の減少。
一見すると大きな差ではないように思えるかもしれません。
しかしここに、より重要な内訳が隠れています。
エスパルスの中盤選手のスプリント数が半分以下に
| 試合 | 中盤選手(アンカー・インサイドハーフ)のスプリント数 |
|---|---|
| 広島戦 | 50回 |
| 神戸戦 | 23回 |
中盤選手のスプリント数は、広島戦の半分以下にとどまりました。
ここで改めてスプリントの定義を確認しておきます。
スプリントとは、25km/h以上で1秒以上走行した回数を指します。言い換えれば、無意識には生まれない数値です。
スプリント数は「意図したプレー回数」の裏付けであり、戦術的な意思を持った動き出しの多寡を示す指標です。
中盤選手が23回という数値は、アンカーやインサイドハーフがほぼ張り付いた状態で、歩くかジョグでプレーを続けていたことを意味しています。
オフザボール時に受けに行く動き、スペースへ走り出る動き——そうしたプレーが神戸戦では出せていなかったということです。
個別データに見える詰まりの構造
なお、チーム全体の走行距離は神戸戦のほうが広島戦を上回っています。スプリントではなくジョグや歩行の距離が積み上がっていたことが、この数値からも読み取れます。
また、怪我の影響があったのかもしれませんが、ウィングのカピシャーバ選手の前半スプリント数はゼロでした。
個別で見ると、北爪選手が24回と多くの数値を記録しています。
しかし中原選手が大外レーンに張っていたため前が詰まっており、北爪選手自身も1秒以上のスプリントができる場面が限られていました。
これらの数値はまとめて、スペースをつくる動き・ボールキープ・パスの連鎖が機能していなかった実態を示していると言えます。
主力選手不在がチーム全体のプレーの選択と質に影響を与えた——そう読み取れるデータです。


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